【イベントレポート】集落の水道水源河川に、希少魚類のふるさとを増やそう!
2025.12.88月18日、19日に行なった『集落の水道水源河川に、希少魚類のふるさとを増やそう!』というイベント。
北海道e水プロジェクトに採択され、実行できました。
北海道e水プロジェクトは、北海道と北海道コカ・コーラボトリング、公益財団法人北海道環境財団の三者が協働で推進しているプロジェクトです。
主に道内の水辺での環境・保全活動に取り組む団体などへの助成や、支援を行っています。
(いろはすの売上金の一部が寄付されているだとか!)
詳しくはこちら↓
朱鞠内湖への流入河川は、イトウを含めた魚類の生息環境、産卵環境となっているところも多くありますが、
母子里を流れるとある河川は水道水源用として使われています。実はその川、昔は沢山のイトウがいたそうです。
農地改修に伴う河川工事で流れが単純化し、イトウはいなくなりました。
その河川において、私たちはイトウが育つ環境を整えるべく、
川の中に石組み工という、人の手で石を組み、川の流れに変化(深みや緩い流れ、分流を作り出す)
を持たせる取り組みを昨年から行うようになりました。
ー母子里に住む方々が水道として使っているから、水質は間違いなく良い。だけどイトウが絶滅した。ー
母子里に住んでいる人達にとってすごく身近な川でだからこそ、現状と私たちの取り組みを知ってほしいということで
地元住民の方中心に参加を募らせていただきました。30人ほどが参加してくださいました。ありがとうございます!
■有識者による勉強会
イベント1日目は母子里コミュニティーセンターにて勉強会を行いました。
株式会社北海道技術コンサルタントの岩瀬晴夫さんによる
「川のお話」
株式会社建設技術研究所の井上創さんから
「石組み工の設置方法について、その効果について」
この講義で特に印象に残ったのが、岩瀬さんの講義の中で
(自然の)川は、川自身が「より良く流れる形」に進化する構造物である。
(改修の)川は、人が改修しても時間の経過とともに、川自身が「より良く流れる形」に進化する構造物である。
人が作ったものはこわれるが、
『より良く流れる形は、こわれづらい(はず)』
➡︎川自身が作った川をどのようにすれば「より良く流れる形」を知ることができるのか
(ここでいう“こわれる”は、氾濫そのものを指しているわけではありません。
川底が掘れすぎたり、流れが一点に集中したりする“川に無理がかかる状態”のこと。
また、氾濫=悪いこと、とも言い切れません。
自然の氾濫には、土地を肥やしたり川のエネルギーを逃がしたりする、本来の役割もあります。
だからこそ、川が自分で整えていく“より良く流れる形”は、無理がなく、長い目で見るとこわれにくいのだと思います。)
という岩瀬さんと川のつきあい方のお話です。
岩瀬さんは川の自然な営みに配慮した工法の日本での先駆者のひとりで、
川の構造多様化、生態系保全、自然再生といったテーマで実践と研究を通じて新しい「川とのつきあい方」を提案し続けている人。
『より良く流れる形』
簡単なようでとても難しいお話です。
何度も何度も『見試し』を行なってきたからこその観える形なのだと思います。
岩瀬さんにとっての『見試し』は、”川づくりのための仮説 → 小さな実験施工 → 観察 → 修正 → 再挑戦”のサイクル。
これを通じて、「川の自然な営み」と「人の安全・利便」の間でバランスを探る試みのこと。
川は「コンクリで固定するもの」ではなく、「変化し、生き物が往来し、地形も流れも変わる“動く自然”」として捉える。
だからこそ、「最初に決めた設計で終わり」ではなく、「川の声を聞きながら、段階的に手を加え、必要なら考え直す」
その繰り返しこそが“本当の川づくり”になる。と岩瀬さん。
とても感銘を受けました。
やって終わり、は良くないですよね。
■石組み工による!!劇的ビフォーアフター
2日目は実際に川に行き、グループに分かれて石組みを作りました。
まずは 匠・井上さんによるデモンストレーション。
真剣に聞きます。
グループに分かれて実際に石を組んでいきます。
石の面と面を触りながら噛み合う場所を探すのがなかなか大変でした。
ここから先はこの音楽とともに、お読みください。
なんということでしょう!
綺麗なアーチ状の石組みが出来ました!
※この他にも8箇所違う形で石組みを作成しています。
最後はイトウの稚魚を300匹放流して、イベントが終了。
皆で作った石組みによって川の流れに変化が生まれ、イトウの稚魚たちは石組みの近くの緩やかな流れの場所へ、力強く泳いでいきました!新しい住処は気に入ってくれたかな?
ちなみに今回使用した石というのは、下流側の近くにある蕎麦畑から出た石を貰ったモノです。
農家さんが邪魔モノ扱いしていた石が、立派な役割を担いました!
井上さんからは、
「去年よりもはるかに良い出来。出水で壊れるものもあると思うけど、
それはそれで良いじゃないですか!川なんて変わるものなんですから。
実際に自分たちで作ってみると、やった感を感じられてワクワクしたと思います。
今まででも非常に良い出来でした」
と講評をいただきました。
川は一度きりのプロジェクトではなく、続けていくことに価値があると感じました。
これだけで終わりにせず、今後も母子里の人、幌加内町民が川に興味を持ってくれるプロジェクトをどんどん起こしていきます!!
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《ふるさと納税のお知らせ》
朱鞠内湖が位置する幌加内町では、「人に自然にやさしい故郷づくり」を進めるため、1 回に5,000 円以上のふるさと納税(寄附)をされた方に対し、心ばかりのお礼として本町の特産品等を一品進呈しています。
その中には、ワカサギ釣りの回数券やログキャビン宿泊プラン、イトウフィッシングプラン(1泊2食+渡船2回分)も含まれております。
『寄附金の用途を選択』という項目に
”イトウの保護に関する事業”
”朱鞠内湖周辺の観光振興に関する事業”
があります。是非ともこちらを選択し、応援して頂けると大変嬉しいです。
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